2023/9/8〜11 槍ヶ岳 北鎌尾根

2023/9/8〜11 槍ヶ岳 北鎌尾根

こんにちは、Kuです。今秋、Kaさん、Koさんと槍ヶ岳北鎌尾根に行ってきました!

お盆の台風到来で一度延期となり、今回も台風予報でどうなるものか危ぶまれましたが、何とか行くことができました!

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1日目:前泊地 さわんど第3駐車場

朝4:00 雨
起床。寝袋の片付けなどする自分と、まだ寝ているKoさん&Kaさん

朝4:30 雨が強くなる
いそいそと荷物準備する自分と、不思議なものを見るような顔のKoさん&Kaさん

朝5:00 雨止まない
全員が車の座席に落ち着いたところで、お二方「「え、本当に行くの?」」、自分「!?」

状況を説明すると、当初3日目には下山の計画だったため1日目が雨の時点で北鎌尾根は中止になる可能性大。さわんどまでは来たものの9/8の天気予報は1日雨。そこへ早朝の大雨。北鎌は中止という心持ちで朝のんびりしていたのに1人行く気満々の奴がいるマジか・・・ということのようでした(汗)すみません🤣

翌日以降の天気予報を再度確認すると9/9以降は回復傾向。そこで何とか!と、9/11の予定を調整頂いて、9/8はババ平までとし9/9に北鎌尾根の稜線でビバーク、ただし9/9朝の天気次第では撤退判断という計画に組み替えさせて頂きました。大変ありがとうございました&すみませんでした!

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雨が少し収まった7時、バスで上高地へ向かいました。上高地に到着すると天気は小康状態のようで、レインウェアもいらない程度。

人気のない河童橋。雨は降っていない!

8時、本格的に降り始める前にと横尾までの長い道のりを急ぎます。到着後、少し降られましたが、休憩がてら雨宿りしているうちに止む程度でした。

その後もほぼ降られることなく、13時半にババ平到着。あいにくの天気にも関わらずテントもそれなりに張られていました。この日は明日に備えてのんびりしつつ早めに就寝。夜半の雨の音は心配でしたが、明け方にかけて次第に回復してくれたようです。(ありがとうっ、天気予報)

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2日目:5時半、ババ平を出発。水俣乗越までは一般登山道をガッツリ登り、水俣乗越からは北鎌沢出合に向けてガッツリ下ります。水俣乗越から先は登山道はありません。

水俣乗越から天上沢方面。雲海に包まれている。

水俣乗越からの直下の下りは崩れやすくザレている箇所があり慎重に下りました。最初は樹林帯で巻き道もありますが、それでも滑りやすいです。樹林帯を過ぎると岩が折り重なる沢筋に出てきます。ここから出合まではずっと水の無い河原歩き。

たまに年代物の登山道具が落ちていて焦る😅

沢は岩がゴロゴロの河原歩きで大きな浮石もあります。少なくとも北鎌沢との出合までは、道の迷いようがなくて助かります。

9時半、北鎌沢出合に到着。ケルンが目印です。

北鎌沢のコルに向けて直上していく。晴れてきた!

北鎌沢の登りは大きな岩をよじ登っていきます。傾斜はそこまでないので、3点支持で確実に行けば問題ありません。分岐を右に右にと選んでいきました。

ただ、時期のせいか水の気配が全くありません。雨が止んだのは良かったのですが、逆に熱中症の心配が出てくるような快晴。事前情報では北鎌沢を大分上がった所に水場がまだ残っているとのことですが・・・。もし残っていなかった場合、出合まで戻って貧乏沢方面まで水を取りに行かないといけません(汗)

登ること1時間。事前情報で水場の最終地点と目されていた箇所(2080m付近)で、無事、滔々と流れる水場を発見(2023/9上旬 時点)。水音が聞こえたときはホッとしました。

水量ありました

伏流水になっているのでしょうか。この時点では、ここ以外の水場は、下部で1か所(かなり水量少な目)、上部で1か所(ほぼ水滴)でした。

出合方面を振り返る。結構登ってきた

水場でほっと一息休憩した後は、どんどん高度を上げていきます。傾斜も急になり、4リットルの重みがのしかかってくる・・・。

それにしても、コルはずっと見えているのになかなか近付かない・・・。遠近感おかしくないか。

これが!あの有名な「クライマーズホイホイ」

北鎌沢の間違いやすい分岐(いわゆる「クライマーズホイホイ」)は先行者の方が左に行っていたのが見えたので、ああここかという感じでした。確かに右へ曲がって登った先に岩壁がありますが、登ってやろう!とは思えない気が・・・。基本はコルの方面を目指していけば間違いはなさそうです。コル直下も、コル方面を目指しつつ踏み跡に従って草付きを登りました。

13時、北鎌のコル(2470m)に到着。ここで一休み。

平坦だが虫多し。まだ早いのでテントはなし

少し曇ってきましたが、まだ時間はあるので行けるところまで行きます。稜線には上がってきたものの、ここからも300mほどの急登です…。P8、天狗の腰掛(P9、2749m)、それを越えるといよいよ独標。

ビバーク場所は独標付近、(ソロの方も含めて数パーティーが北鎌に入っていたので)空いているところで張ろうということになりました。今日のお家探しの始まりです。

独標が見えてきた

ハイマツ帯の急登を登った先、天狗の腰掛(P9)にはハイマツとハイマツの間に2張ほどスペースがありますが、今回は先住の方がいたので挨拶して次へ。探していると、たまに小さなスペースを見つけます。1~2テンなら張れそう。自分たちは、もう少し良いところがないか物色しながら先へ。

天狗の腰掛からは、ザレた下りとチムニー上の岩に挟まれながら下る箇所があり慎重に行きました。

15時、独標基部2750m付近に到着。

基部から見上げると、独標が迫ってくるよう

北鎌のコルと北鎌平を除けば、ここが一番開けているように思えました。幕営跡地には少なくとも2~3テンを3張はいけそう(整備すれば4テンもいけるかも?)。ハイマツが風を防いでくれるし、それなりに平らだしで、なかなかよいテン場です。

ここを2日目の幕営地とする

登山道もない稜線のど真ん中の幕営。天気が持ってくれたおかげで、北アルプスのど真ん中の景色に囲まれながら贅沢な幕営地でした。

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3日目:朝から晴れ。常念山脈からの日の出も見ることができました。

幕営地からの朝焼け。絶景テント場。

5時30分出発。水と食料の分だけ軽くなった荷物を背負って、今日は大槍へ向かいます。

まずは眼の前にそびえ立つ独標を越えていきます。独標は千丈沢側にトラバースしつつ、途中から岩を直登とのことだったのですが、トラバースを意識し過ぎてしまい、ルートを外してかなり下ってしまいました・・・明らかにおかしいなと登り返し、下った地点まで戻ってきて、よく見ると、真っすぐ行くルートが。ルーファイ難しい。

目印の残置ロープも発見。ここはトラバース

そのままルートは岩場のトラバースとなり、途中踏み跡が途切れたところで左を見上げると、何だか登れそうな岩が。GPSで確認すると「当たり」で、ここが独標への登り地点でした。

登りやすいが慎重に

登っていくと、、、大槍が見えてきました!

ここからは大槍の写真多めでお送りします

こちらから大槍を見ることってあまりないから新鮮。一昨日の天気が嘘のような快晴で、北鎌尾根から一望する景色も最高です!

6時50分、独標(P10)到着。

独標付近から。先行者の姿が見える

天気が良いので大槍までずっと稜線が見えていました。ルートは岩峰のアップダウンを繰り返しますが、稜線上を進むが吉です。稜線をよく探してみると、踏み跡が見つかることがあります。

因みに、このPなんちゃらが多すぎて、途中よく分からなくなってきましたが、整理すると以下の通りでした。
7時40分、P11着
8時00分、P12着
8時40分、P13着

P13を下ったところからP14(右上)方面

少し迷ったのがP14の登り。下から見るとザレザレで本当に登れるのかという感じで、巻き道を探しに行きましたが、やはり稜線直登しかないよう。ここはロープを出し、Koさんにリードしてもらうことになりました。ただ、辺りには支点にちょうどいい岩もなく・・・すると、すかさずKaさんが目の前の岩にハーケンを打ち込んでセルフビレイ。思わずKoさんと拍手してました😁

岩が脆いので気を付けて登る。落石注意。手足の置き場はあり

登りきった後、基本は稜線を進んでいったのですが、P14の手前でしっかりした右側の踏み跡に導かれてしまい巻き道へ。すると稜線からどんどん離れて行き、、、別パーティが上部の稜線を進んでいるのが見えたので、どうも本格的にトラバースルートへ入ってしまったようです。

ここは、右ではなく直登するべきだったよう

仕方なく、稜線への復帰するルートを探しながらトラバースルートを進んでいきますが、なかなかの平行線。また、踏み跡はあるものの分かりづらかったり、崩れている箇所も増えてきます。浮石や砂地で滑りやすいところも多いので気を使い、思ったより時間がかかってしまいました。

段々歩きづらくなってくる。アンデス山脈のヤギにでもなった気分、、、

11時、巻き道を1時間ほど歩いてP15の下まで来ましたが、一向に稜線へ復帰できそうにありません。地形を確認し、傾斜が少し緩やかになったハイマツ帯を通って稜線へ登り返すことにしました。

左の岩&ハイマツ帯を登った

確保できるハイマツや岩は多くありましたが、あまり踏まれていないようで浮き石も多く緊張します。

西鎌尾根をバックに稜線へ登る

80メートルほど稜線へ登り返したところで踏み跡らしいものを発見。どうやら稜線のルートに復帰できたようです。バリエーションルートとはいえ、踏まれているルートは安心感が違います!

12時、北鎌平到着。いつの間にか空も曇ってきてしまいました。

大槍が思ったより近づいてきている!

巨大な岩が折り重なる光景は迫力があります。岩が大きいせいか、安定感は段違い。よじ登るところは多いですが、ここからは安心してガシガシ登っていけます。

見た目よりはしっかりしている

この辺りまでは振り返ると独標まで見渡せましたが、その後はガスってしまい、何も見えなくなりました(泣)

12時40分、ようやく大槍の基部に到着。見上げるとやっぱり大きい。カッコいい。ここが少し開けていたので一休みしました。ビバークもできそうです。ゴツゴツだけどね。

大槍の北側はこんな感じです!

大槍は、自分たちは少し東側から回り込むようにして登っていきました。所々、残置ロープや残置ハーケンもあります。あと少し!

ここは残置スリングを使った方が登りにくいかも

最後の登りにしてなかなかの斜度。水分が減ったとはいえ荷重はあるので、振られないようバランスを取りつつ気を付けて登っていきます。頂上直下はロープを出しました。

最後の登り!

Kaさんにリードして頂いたのですが、下で待っている間、どこまで伸ばすんだろうと待っていたら、大槍頂上まで着いていたようです。40mでちょうどくらいでしょうか。

すっかりガスってきてしまった🥲

14時、頂上到着!

自分たちは祠の隣に出ましたが、もっとハシゴ寄りに出てきたソロの方もいたので、そちら側のルートもあるのかも

すっかり北鎌尾根はガスの中に消えてしまいましたが、無事、頂上まで登ることができました。ここまで何とか雨にも降られず、本当に良かったです。頂上は普段よりも人は少なかったですが、どこから来たんですか~?北鎌尾根です~のやり取りができて、ちょっとうれしい😁

登山道に感謝しながら、頂上を後にしました。ガスガスだけど、歩きやすい!

山荘で、豪華にジュースと豚汁とプリンとクッキーを頂きました

休憩後、槍沢経由で下山しました。最後だけちょっと雨に降られました。

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3人とも、はじめての北鎌尾根で皆でルートファインディングしながらの山行はとても楽しかったです。岩稜帯歩きだけでなく、水の確保や稜線のビバーク場所探し、トラバースルートはちょっと歩きにくかったですが、それも含めて北鎌尾根はバリエーションルートとしてとても良いルートでした。この憧れのルートを無事踏破できて、良かったです😊

Kaさん、Koさん、ありがとうございました!