23/12/3 広沢寺弁天岩 マルチピッチ訓練

23/12/3 広沢寺弁天岩 マルチピッチ訓練

早くアルパインの現場に出たい。しかし、ロープワークや懸垂下降などの必須技術をしっかり身に付けることが先決だ。何度も繰り返し練習し、身体に覚え込ませるべし。そう思っている時に、先輩のNさんがマルチピッチ訓練に誘ってくれた。これを機に、なかなか踏ん切りのつかなかったダブルロープも購入することができた。

やって来たのは丹沢の広沢寺にあるスケール十分の弁天岩のスラブ。初心者のトレーニング、特に基本的なフットワークを習得するには格好の場所である。また、岩場をアイゼンを付けて登る練習(アイトレ)も行うことができる。

てきぱきと装備を装着し、早速練習開始。比較的早く来たのでまだ我々のグループ以外には誰もいなかった。

まずは下の岩にあるリングボルトを使って、流動分散での支点構築のおさらい。ちなみに、リングボルトは強度が弱いので、こういう練習の時以外にはあまり支点としては使わない。

リードをビレイすることはジムなどでもよく経験するが、フォローのビレイ(セカンドビレイ)は今日が初めて。写真のように確保器の上部の穴にカラビナを通し、支点(ビレイポイント)に直接セットする。セカンドクライマーが墜落時、セカンド側ロープの荷重によって制動側ロープを上から押さえつけ、ロープがロックされる(オートブロック機能)。説明を受けただけでは「ほんまかいな?」という感じだが、オートブロックは画期的な進化だったらしい。

早速、実践あるのみ。練習なので短くピッチを切って、支点構築をやってみる。実際にやってみると、足場の悪いかなり狭い場所での作業になり、緊張する。セルフビレイを取り、体を斜面に投げ出すように体重を預けると作業をしやすくなることもある。しかし、「もし今セルフ外れたらオレ死ぬな…」。クライミングは間違いがあってはならない。

リードで登り支点に到着したら、まずセルフビレイを取る。そして、ビレイヤーに「ビレイ解除!」のコールを掛け、余ったロープを引き上げる。まさか自分がこのコールを実際に掛けることになるとは。フォロワーはロープがいっぱいになったら「ロープいっぱい!」と叫ぶが、声が届かない場合はロープの引っ張られ度合で判断するしかないことも。

全員が登ったら、懸垂下降で下りる。その時、先頭で下降する人は必ず「仮固定」をしっかり自信をもってできる必要がある。懸垂下降時は、右手はロープを握ったまま、ビレイデバイスに対して下向きの角度を維持したまま離すことができない。しかし、ロープが引っ掛かったりして、どうしても両手で作業する必要に迫られるシチュエーションが出てくる。その時は、ビレイデバスイスのロープが出でいる奥側を左手で押さえながら、右手で下部のロープを手繰り、ビレイループに付けたカラビナに通し、ロープの下向きの角度を維持するように固定する。「ほんまにこれで止まるんか?」と不安になるので、ちゃんと止まることを地面で安心できるまでやってみるべしだ。

ダブルロープの片方の末端をオーバーハンドノット2回で連結し、反対側の末端をリング(ロープが傷つかないようなつるっとしたもの)に「うまく」通して、同じくオーバーハンドノット2回で連結する。ロープの回収時には下側のロープを引く必要がある。上側を引くと上のロープが下のロープを押さえつけて回収できなくなることがあるからだ。すると、結び目がリングを通った下側のロープ側にないと、結び目がリングを通らず回収できなくなる。これが、「うまく」の意味だが、頭で分かってはいても、何度も逆にしてしまう。クライミングには頭も必要だ。

ロープは絡まることも多く、使う前に何度もほぐすことが必要だ。その他、色々やってみないと分からないことを教わり、大満足の1日だった。次は、登りにもフォーカスせねば…。