2022/10/1 錫杖岳 注文の多い料理店

2022/10/1 錫杖岳 注文の多い料理店

7月に敗退した錫杖岳の「注文の多い料理店」にリベンジに行ってきました。

前回は前日の雨の影響で途中敗退になってしまいましたが、数日晴天が続いて快晴予報という絶好のチャンスが巡ってきました。再びFさんと私シンで挑戦です。

前夜に横浜を出発して、駐車場に着いたのは午前3時過ぎ。2週続けて3連休が台風となってしまった後の晴天の週末、渋滞で途中敗退は避けたいので、仮眠もなしにそのまま出発! 錫杖沢出合辺りまではヘッドライト頼みでしたが、一番乗りで取付に着いた5:30にはちょうど日の出で、しっかり乾いた壁が待っていました。今度こそ登れるか⁉

上部中央の凹角が注文の多い料理店

1・2P目(IV,5.8/55m)、Fさんが1・2P目を続けてリードしたいと申し出てくれたのでお願いしました。前回は染み出しを避けて本来のルートより左手から取り付きましたが、今回のが多分本来のルート。2P目の左上フレークは乾いた状態でも簡単ではなく、よくFさんは前回リードで突破したなと。前回はこの2Pに2時間半かかりましたが、今回は1時間で抜けました。2P目まで継続すると50mロープでは少し足りず、ビレイヤーは出だしの階段状を少し登って届きました。

登攀開始

3P目(5.8/40m(私達は2P目となりますが、一般的には1・2P目は切ることが多いと思われるので、誤解を避けるため3P目と書いておきます))、前回は見上げただけで引き返した核心ピッチをリードさせてもらいました。カムは#0.3~5を2セットで重い!

3P目、出だしのルーフクラック

出だしのルーフクラックが核心で、フィストか腕まで突っ込んでロックして足を右壁の細かいスタンスに上げて、カンテをレイバックで引き上げると上のガバが取れたような…。カムはルーフの抜け口に#4、その上にスタックしたカムもあります。試行錯誤しているとどんどんパワーを吸い取られるので、さっさと切り抜けた方が良いと思われます。

ルーフクラックを抜けたところ
ルーフクラックの上に続くクラック

核心を越えると、傾斜は少し落ちますがワイドクラックが続いていて、(私には)それほど易しくない!

15m上がるとハング下に支点が見えてきて、ここが地蔵テラス。ここで一旦切ることも可能ですが、まだカムもたくさん残っているので進んでみました。

ハング下が地蔵テラス

地蔵テラス上のハングを越えた後もワイドクラックが続きます。ジャミングかレイバックか、あるいは体を出してステミングか、とその都度考えながら前進。クラックが広くてジャミングの効きが悪く、壁にもそこそこホールドがあるので、終始クラッククライミングという感じではないです。しかし、だんだん疲れてきたし、カムも残り少なくなってきた…40mは長いですね。高度感もかなりのものになってきました。

3つ目のハングは右へトラバース、#1と#3が使えますが、なかなかスリリングなトラバースです。その先を上に上がるとようやく水平テラス。3P目全体では、#0.3,#1,#2を×1、#3~5×2を使ったと思います。クラックが広くて#1以下はあまり使えないので1セットでも良いかもしれません。

3P目最後のハング下

水平テラスは3人くらい並んで座れる広さがあり、ペツルとラペルリングの立派な支点があります。

3P目を登るFさん

4P目(5.8/45m)はFさんリード。幅の違うダブルクラックから始まります。

4P目のダブルクラック
4P目上部

ダブルクラックを抜けるとブッシュっぽいリッジからフェースを登って、左方カンテと合流して小テラスに着きます。西面の注文ルートはここまでずっと日陰でしたが、ここから日なたに出て暑いくらいです。

5P目(IV+/50m)、左方カンテの時に私がリードしていたので、Fさんがリードしてくれました。出だしのスラブにボルトが1本しかなく、前回は染み出しを避けたのもあって私はボルトの上で右上の灌木へ逃げたのですが、Fさんは左手を突破! 私はリードするならもう1本ボルトが欲しい…IV+ですかね?

5P目のスラブ

スラブの上はほとんど歩き。ほぼ50mいっぱい伸ばして立ち木の支点まで上がり、少し歩くと終了点の広場に出ます。ここまで3:45、順調なペースでした。

終了点からは秋晴れでくっきりした槍穂高を一望でき、行動食を食べながら休憩。今日は会のメンバーが同じ錫杖の左方カンテの他に、槍穂高にも私達含めて8人がこの山域に入っています。それぞれにアルパインを楽しんでいて嬉しいですね。

あまりのんびりしていると、登ってくるパーティーと懸垂で交錯して渋滞するので下降開始。懸垂2Pでスラブ下の小テラスまで。左方カンテからの2人パーティーが登ってきていて、さらに注文ルートの2人パーティーが登り終えるのをしばし小テラスで待機。その次は左方カンテの大テラスには下りずにスルーして注文ルートへ下りると水平テラスまで下りられます。その後は、ルーフクラック下の枯れ木テラスで切って、5Pで取付まで。

同ルート下降で懸垂

終了点では、(この間途中敗退した)1ルンゼも行っちゃう?とか話してましたが、懸垂を終えて戻ってきた時には12時になっていて、十分満足したしそのまま下山することにしました。

帰りは北沢の岩小屋を見てみたかったので北沢から下山。左方カンテチームは渋滞に巻き込まれてしまったようでまだ登攀中。なんとこちらに気づいたようで手を振り合いました。

北沢から見上げる左方カンテ

駐車場に戻って、今回も新穂高の湯へ。運転と睡眠を交代しながら帰宅しました。

想像していたより難しかったですが、無事に登れてよかったです。あらためて、前回のコンディションでは自分達には絶対に抜けられなかったなと。ちゃんと良い条件を選ぶ方が良いですね。左方カンテから3年、お陰様でまた1つ目標が登れました。Fさん、ありがとうございました。

<行程>

駐車場(3:30)ー注文の多い料理店取り付き(5:30/6:00)-終了点(9:45/10:00)ー取付(12:00)ー駐車場(14:20)

シン