前々から行きたかった錫杖岳のルートにシンさんと、私Fで行って来ました!
金曜日夜に横浜を出発して、翌未明の2:30頃に新穂高の砂防資料館横、ヘリポート隣の駐車スペースに車両を駐車。3:30まで仮眠をし、4:00に出発。
槍見館への林道を100mほど歩くと左側に登山口のポストがあります。ここからクリヤ谷一般登山道に入ります
一般登山道なのに想像していたよりも道が険しい。。。大石が多く、バランスに気をつかいます。さらに結構急登。他の方のブログでは取り付きまで2時間くらいで到着しているケースが多いので、気楽に考えていましたが結構疲れます。カムもたっぷり背負ってるし。
登山道の踏み後を追っていくと自然と渡渉場所に導かれます。登山道には赤テープも豊富です。
シンさんはジャンプでクリア!私は靴を脱いで裸足で渡りました。とは言っても、2、3歩のひざ下の渡渉であり、昨年シンさんと行った穂高屏風岩のパンツ一丁渡渉に比べれば何でもないです。
引き続き林道を歩くと見えてきました。錫杖岳の前衛フェース⛰
錫杖沢出合いへの降り口にも赤テープがあります。
錫杖沢出合いにテントを張ります。結局、翌日日曜日が降雨予報だったので日帰り山行となりましたが、当初の予定は2日目に1ルンゼを登る予定でした。
それでは錫杖岳へレッツゴー♪
宿泊グッズはテントに置いてきましたが、カムどもが入っているため荷物はやや重し💦
北沢の左岸にあるふみ跡を辿って前衛フェース取り付きを目指します。ここもまた急登(-_-;)こんな感じの道が結構続く。
あー例のやつ。あの花ですよ。そう、あれ、あれ。んーと、名前なんだったけな。そうあれ。
取り合えず急登で疲れた心を癒してもらいます。
左方カンテ取り付きに到着!
アーップ!岩ビショビショ。
先行者は無し。今回は核心の3ピッチ目、7ピッチ目を私がどうしてもやりたい為、シンさんにお願いして奇数ピッチをやらせてもらいました。
1ピッチ目出だしは倒木に足を掛けて登ろうとしましたが、濡れ濡れの木はフリクションゼロパーセントで役立たず。しょっぱなからやや奮闘して登りました。これがⅢ級とは先が思いやられる。。。
1ピッチ目終了点。ルート全体を通して、確かにピン、ハーケンは少ないですが、要所には最低限のピンやハーケンが残してあります。結構古いものなので、最近打ち込まれたものでもないと思いますが。。。さらに確保支点、懸垂支点はほとんどが下図のようにしっかりとしたボルト2つで作成されております。
1ピッチ目終了点から2ピッチ目の景色。引き続きルンゼを登ります。
2ピッチ目フォローの私。ちょいハング部分があり、リードはそこでカムをセッティングする必要があり、おそらく怖いと思います。
3ピッチ目リードの私。2ピッチ目終了点となっているピナクル(高さ2メートルくらい)を左側から登って、まず一息。ここで左にはビショビショの左上に伸びるクラック、右にはハング&ハーケンがあります。乾いていたなら左上のクラックに逃げてしまいそうなところですが、正しいルートは右のハングと思われます。
そのハングは下の写真の私のバッグのすぐ右に見えるとこらへん。ハング下で立ちこむのにやや勇気がいりますが、立ちこんでハング上のガバを取ればこちらのもの。ハングを越えたら後は「ガバの行列スラブ状フェース」。
3ピッチ目セカンドでハングを越えた後のスラブ状フェースを登るシンさん。
4ピッチ目は、ピッチというか20m右に移動し、チムニー下に入り込みます。下の写真がその5ピッチ目となるチムニー。
んー、汚い。チムニー内部はビショビショです。がっつりはまり込んだ誰かの残置1番カムに支点などを取ってズリズリ登って行きます。このチムニーではザックが邪魔になるので、私は股下にスリングで吊り下げて登りました。ザック泥だらけ。
6ピッチ目の見た目。5ピッチ目終了点の左側のチムニーを登って、左にトラバースし、下図写真の左側のフェースを登っていくルートです。チムニー付近にボルト、さらにその上方に「残置ヌンチャクwith支点」がありましたが、チムニーがビショビショ過ぎて登れそうにもありません。おそらく、あれだけ濡れていると、チムニーからフェイスへのトラバースは危険なものとなります。
従って、リードのシンさんはフェースを下から登り上げて行きます。下から見ると手掛かりが多そうですが、カムを取れる部分も限られており、緊張を強いられます。フォローで登って気付きましたが、壁も下から見るより立っているため、私はフォローですが、緊張したピッチでした。
6ピッチ目フェイスをリードするシンさん。
7ピッチ目。核心と言われる出だし上のチョックストーンに届けばガバなのはわかるが、そこに手を届かせるのが難しい。チョックストーンから下は逆V字のように下に行くほど開いており、おまけにスタンスが無いので、身体をどう持ち上げて良いやら。。ちなみにA0にも使用されるボルトが左にあり、それでランナーを取れば安心。そのランナーのお陰で何度もチャレンジできます。
下図は上のチョックストーンの下の様子(カメラを正面に向けたくらい)
こちらの下図の写真はカメラをさらに下に向けたもの。登り始めのお立ち台。
で、何とかフリーで抜けました!チョックストーン真下にはカチホールドが確か2か所くらいあり、うまい人は「体幹」と「カチホールド」と「足のフリクション」の3点セットを駆使してチョックストーンに手が届くでしょうが、どうしても無理。そこで、逆V字の奥に入って、バック&フットで体を持ちあげ、奥にある比較的安定したフットホールドに右足をのせます(こむら返り紙一重)。そこに立ちこめば奥の別のチョックストーンに手が届くので、こいつをがっちりホールド。このまま左足を、写真に写っている正面チョックストーンの真下クラックにあるふっとホールドに乗せれば、正面チョックストーンに手が届きます。
「出だしの核心越えたぜ( ;∀;)」と思っていたら、さすがV+。その後の大チムニーもちゃんと怖い。バック&フットでずり上がるも、チムニー幅が広いのである程度の高さになると、怖い。正面にクラックが2本走っているので、そのクラックにカムを決めてランナーにするが、カムが居すわったところは例のごとく良いホールド。大チムニーをある程度登ったら、それらのクラックをジャミングで登るが、決まったカムがフットジャミングの邪魔。何とかズリズリ上がり大チムニー突破。下はフォローのシンさんが大チムニー突破後に大チムニーを撮影してくれたもの。
下図は7ピッチ目フォローのシンさん。登っているのは大チムニーを抜けて、クラックを抜けてその先のチビハング。出だしのチョックストーン、次の大チムニー、そこからつながるクラックを終えた後に、最後っ屁のようにハングを出すところが、さすが核心ピッチ。ここは右手を上部に延ばせばしっかりホールドがあるのでそれを頼りに体を持ち上げます。左手はスローパー的なものしかないので、それで耐えます。
7ピッチ目終了点から見える反り返った岩盤。どうすればこうなる????
8ピッチ目を下から見た様子。やっぱビショビショ。
スラブ → フリクションを使って登る → 岩がビショビショ → 怖い。シンさんリードっ!!!!
核心を越え、気持ちが燃え尽きた私は「A0上等」精神に則り、A0しました
9ピッチ目はおまけみたいなもの。
9ピッチ目を抜けた先には広々とした台地が広がっていました。
正面の西穂高とロープウェイ
左には槍ヶ岳方面の景色
さて、下ります。
登りの8ピッチ目、9ピッチ目はそのまま登ってきたルートを懸垂。
登りの7ピッチ目は大チムニーに入るとロープスタック必至ですし、7ピッチ目終了点では後続パーティーも続々登ってきていたので、上から見て、大チムニーよりも右側のカンテ部分を下ります。到着地点は7ピッチ目の出だしになります。
7ピッチ目出だしからは注文の多い料理店側を50メートル2回懸垂して、北沢に到着します。下図は50メートルを2回降りた部分。
北沢の沢沿いを下ります。結構急です。慎重に。前衛フェースの取り付き横付近まで下ると朝に歩いてきた、北沢左岸の踏み跡があるので、樹林に入ってふみ跡を辿ります。
例のごとく、登った時よりも確実に距離が伸びている下り道を歩きます(要するに「こんな登ったっけなー?まだつかないのかよ!」という心理状態)。
所々で、疲れた気持ちを癒す花が。名前は、、、そう例のあれです。あれ
錫杖沢出合いに着いた後はしばし休憩。
前日の金曜日は雨は収まっていたと思われる状態で、本日の岩がこれだけ濡れていた。ということは今夜雨予報で翌朝まで降るとなると、翌日の1ルンゼは登れたものではない、と判断。テントを撤収して引き上げることにしました。
行きよりも4割方距離の伸びた(しつこい?)クリヤ谷の一般登山道を下り、登山口に到着!
下山後は新穂高の湯に浸かってから、帰宅の途に着きました!
梅雨の晴れ間で降雨もなく、ずっと気になっていた錫杖岳のクライミングルートを登れてよかったです!
シンさん、おつかれさまでした!!!
F
<コースタイム>
砂防資料館4:00 → 渡渉ポイント4:45 → 錫杖沢出合5:15 → テント設営後出発5:55 → 左方カンテ取り付き6:20 → 7ピッチ目終了11:00 → 9ピッチ目終了点 11:40 → 懸垂開始11:55 → 懸垂下降中に登ってくるパーティーなどを待って待機 → 北沢到着13:50 → テント撤収と休憩後含めて下山 → 登山到着16:17