2025年9月20日~21日 無情のガンガラシバナ

2025年9月20日~21日 無情のガンガラシバナ

ハイデー!

kuriちゃん要望にてガンガラシバナを前々から計画しておりました。9月の3連休を使ってカンガラシバナ登攀に行くことにしてましたが、なななななんと、9月20日~22日の新潟県下越エリアの天気は下り坂。見て見ぬをしていたとある天気予報では「災害級の〇雨」やらなんやらと見えたような、見えないような。

出発直前まで天気予報を注視してましたが、19日㈯は「曇り時々雨」。んー、まあ許容範囲。だって沢だから濡れるし。20日㈰は「雨時々曇り」、んー沢奥で増水したらやばい。でも20日の天気予報はそれまでの天気予報推移をみていると定まっていない様子。太平洋側の高気圧の強さ如何で下越地方に雨をもたらす前線の位置が変わるみたい。高気圧が頑張ると、前線が北寄りになってワンチャン雨降らない。よしっ!計画続行!

今回のメンバーはF屋先輩、Mッチー、Kuriちゃん、私Fの4名。

金曜夜にF屋先輩の車で横浜を出発!すでに横浜豪雨。その後、関越トンネル付近までほぼ雨。

新潟県阿賀町の室谷にある、今回のルート入渓点となる一ノ俣沢橋の駐車エリアに到着し、少し仮眠をして出発!でも、やっぱり雨っ

そんな悪条件でもちゃんと沢登りします。ガンガラシバナのある今早出川に向かうためのアプローチとなる一ノ俣沢ですが、ここもしっかり沢登り。ぬめりが強い。

滑滑(ぬめなめ)エリア、または滑滑(ぬめぬめ)エリアでもある。一ノ俣沢もちゃんとした沢。

他の方々のガンガラシバナ山行ブログには「釣り師用の巻き道があるので滝は容易に巻ける」とあるがそこまで明瞭な踏み跡でも無いと思った。帰りの下りの時には結局巻き道がわからない滝とかもあったし。

比較的大きいがホールド豊富で登れるこんな滝も後半に出てくる。

一ノ俣乗越を越えて尾根の向こう側に出て下った先に今早出川がある。よって、まず目指すのは「一ノ俣乗越」。地形図を見ると標高580m付近で北西側に進路取る必要がある。沢筋は北東に向かっているのでここで一ノ俣沢の沢筋から外れれば一ノ俣乗越に至るはず。

高度計を確認しながら下の写真のところで、進路を北西に取った。右奥に一ノ俣沢の20m滝が見えるあっ、ちなみにこの分岐と思った地点で3/4人がキジタイム💩💩💩

しかし、ここでどうやら正規のルートを外れたらしい。右奥に20mの滝がある、左側の水量の少ない沢の方にピンクテープもかかっていた。ここで左側の水量の少ない沢を詰めていってしまった。帰りに分かったが、水量の少ない沢に入ったらすぐにその沢の左岸側に20m滝方向に向かう巻き道が続いていた。20m滝を高巻きして、さらにその20m滝奥を詰めて行って一ノ俣乗越に向かう必要がある。下図の20m滝を右岸から高巻くのが正規ルート。その高巻き道は手前の左側の沢から入り込むものであったらしい。

しかーし、帰りは一ノ俣乗越からの下りで正規の踏み跡をたどったが、それほど明瞭な踏み跡でも無く、またピンクテープはとぎれとぎれ、どちらの沢に行けば一ノ俣乗越に続くのかわからない分岐もある。

なので、一ノ俣沢から一ノ俣乗越に至る道は他の遡行者のブログにある「釣り師の明瞭な踏み跡がある」というのは、私としては信じられない。GPSなども使用して今早出川を目指す必要があると思う。確かに地元の山岳会の方や地元の釣り師の方が踏み跡をつけたりピンクテープを設置したすぐあとは明瞭かもしれないが、それ以外の時に初見で迷わず今早出川に至るのはかなり困難であると思う。

前述の分岐を間違えた後は一ノ俣乗越まで猛烈な藪漕ぎ、GPSを見ながらの進路修正を行った。

やっと一ノ俣乗越到着。長い、つらい、藪ひどい、まだ雨。。。。

一ノ俣乗越から今早出川までは、先人のブログによると「杣道」があるらしい。そもそも人生で「杣道」って言葉を聞いたことがない。鬼滅の「霞柱」が「杣人」だったから木こりの道か。つーか木こりって、そもそもこのエリアにいるのか。木切っても運べないだろ。。

とぎれとぎれで確認できるピンクテープに従ってその「杣道」を進む。これもそれほど明瞭な踏み跡ではない。やがて沢にたどり着く。ここで「沢を下れば今早出川に至る」と考えて沢を下ったが、この沢は懸垂下降まではしなかったが、木を掴みながら滑りやすい岩を降りていくような少しひやりとする部分が何個もある沢であった。これも帰りに分かったが、正規の杣道は下り方面を向いた状態で「左に沢を見ながら右に進行し、右の緩い尾根上の部分を乗り越えて、尾根向こうの赤っぱ沢に最後の部分で合流する」というものであった。私たちが往路で下った沢は赤っぱ沢よりも一つ上流の「二重滝沢」であったようだ。

なんやかんやで、今早出川に到着!ここまで一ノ俣沢橋から5時間。

広々してて良い!沢床の石も綺麗!

河原、小滝、腰までの水深部とかがちょこちょこ出てくる。

3時間くらい歩いてやっと横滝に到着。

先人のブログで「登れる」と記録があったので、もちろん登る。滝手前の釜の左岸を泳ぐかヘツリ。1段目の滝を右から登る。巨大なポットホールで一休みして、2段目は左側を登る。

んー、素晴らしい!この悪条件で笑いを忘れないこのメンバーのスタンスが素晴らしい!

横滝から1時間ほど歩いてやっとガンガラー!!!ここまでスタートから9時間。

途中ゴルジュ地形があり泳ぎとなったが、増水したらマジやばそう。両岸も切り立って巻きが見当たらなかった。

天気も悪く濡れっぱなしだったので、さっさと焚火を焚くが、濡れた薪ばかりでなかなか火が立ち上がらない。

夕食はF屋先輩のカレーライス🍛お腹いっぱい食べました。

就寝に備えてパンツの乾燥に全集中する。

こころなしか、曇天が緩み、一部青空と羊雲が見えてきた。これはっ!まさかっ🌞

高気圧が頑張っちゃって前線を押し上げっちゃったんじゃ!俺、持ってる😏

そしてそして翌朝は、なんと、なんと!

なんと!

なんと!

なんと!

信じられないくらい水を噴き出しているカンガラシバナ😱😱😱😱

夜に数回、タープをバチバチと叩く雨音がした。そして朝はそのまま豪雨となった。

いま思えばこの山行の数日前からはこの波乱の展開は示唆されていたのかもしれない。

Mッチーが「釣りやってみたいので釣り竿買います」と言って道具を買うために訪問したショッピングモールがまさかの店休日。いやいやショッピングモールの店休日って、年に1回くらいでしょ?そんな日に当たってしまうということ自体、何かの暗示だったのかもしない。

川は濁流。

スラブから落ちる滝はひょんぐってる、

先ほどまで寝ていた場所は川と化している。

もはやガンガラシバナを登攀するどころではない。このままこんな奥地にいたら本当に死んでしまうかもしれない😱登攀はあきらめてさっさと下山することにする。しかし、この濁流と化した川でゴルジュ地帯を抜けられるとは全く思えない。

とりあえず朝飯を食べる。F屋先輩の持ってきた北海道催事ラーメンがやたらとうまい。これが本当にうまいっ。最後の晩餐となるか「ハイデ日高ラーメン」。あ、朝飯だわ。

ラーメン作っている間にも地面に置いたガスコンロがいつの間にか水没している。

この窮地の状況で、食後はちゃんと歯磨きするF屋先輩っ!いや、この冷静さが重要だなと思いました。またこんな状況でもMッチー、kuriちゃんも笑いを忘れず、取り乱さず、愚痴も言わないというところが本当に素晴らしい!

濁流となっているが「とりあえず河原地帯は下っていこう」ということで進行したが、昨日は何でもない河原がアマゾン川のポロロッカのようになっている。両岸に生えた木を掴みながら川のふちを歩くが、木がなくなり水深もある箇所に至ったところで、「これ以上進めない」と判断し、一段高くなった安全地帯に入り水が引くまでタープを張って休憩することになった。

「ゴルジュ地帯が通過できるのか」、「待ってても雨がやまない、または強くなったら水が引くどころかもっとひどくなる」などの不安が頭から離れない。流されて濁流にのまれたらおそらく死んでしまう。

そんな中、F屋先輩がこの一時停滞場所でお茶入れてくれる。その水は目の前で流れる濁流の水。川を見ると水は茶色く濁っている。しかしF屋先輩が汲んだペットボトルには昨夜の焼酎ウーロン茶割り用のウーロン茶が残っていた。その中に川の水を足したので、もちろん色は茶色なのだが、それがウーロン茶が混ざったせいなのか、それともやはり川が茶色だから茶色なのかよくわからない。ということで「水が茶色いのはウーロン茶のせいなんだ」と自己暗示をかけて暫し茶をしばく。すごい、そこまで先読みをしたうえでのウーロン茶混合。このお茶で一服のおかげで気持ちがかなり落ち着いた。本当に落ち着くって重要。勉強になります。

私自身も忘れていたがkuriちゃんが「そういえばFさん、ラジオ持ってきてましたよね」と教えてくれた。この休憩中にラジオを点けて今後の天気を確認したところ、強い雨は午前中で終わり、午後は晴れないまでも雨は落ち着くらしい。希望が見えてきた。

1時間ほど休憩しただろうか。雨は強くならず、沢を見ると水がかなり落ち着いてきた。出発だ!

水は茶色

心配していたゴルジュ地帯も流れに身を任せて通過。しかし水中の木にスタックなどしないか冷や冷やであった。スタックしたら茶色の水で何も見えないので、かなりまずい状況になったと思う。

昨日登った横滝は右岸の巻き道を通って通過。

元気やなー

濁流泳いだり

濁流の小滝越えたり

また濁流泳いだり

で、昨日の二重滝沢出合いに到着!ここまでくればその先は尾根越えと規模の小さい一ノ俣沢の下降なので濁流による事故のリスクはかなり低くなる。

GPSと赤テープに頼って、赤っぱ沢から一ノ俣乗越を目指す。とぎれとぎれのピンクテープを拾っていったが、やはり踏み跡は明瞭とは程遠い。初見では到底わかるとは思えない。

無事に一ノ俣乗越到着!

ここから踏み跡や、一部残るピンクテープを拾って一ノ俣沢を下るが、やはり「GPS無し、初見」ではこの道を外さずに登ってくるのはかなり困難だと思う。

一ノ俣沢下降中にヘッデン下山となり、やっとこさ一ノ俣沢橋に到着!事故なく無事に帰ってこられてよかった。本当に良かった。

このメンバーの体力、メンタルの強さ、F屋先輩の経験に基づいた雰囲気づくりのたまものでした!

ところで、下山途中にMッチーが「そういえば登攀対象のガンガラシバナ右方ルンゼを正面から見ていないんですよねー」とつぶやいた。そう、私もうすうす気が付いていたが、初日はテント場に到着してさっさと焚火もしたかったので、右方ルンゼの全体像が見えるところまで歩いていない。テント場からほんの少し先なのに。そして2日目朝は水流と死の危険が迫っていたのでそれどころではなかった。ということでまた来なくてはいけないな、ということでした。

もう一つ。一ノ俣沢を下り始めたころにF屋先輩が手に何かを持って下ってきた。「なんですか、それ」と聞くと「靴の中敷きがでちゃって」とのこと。「えっ」靴の中敷きが出ちゃうってどういう状況?先輩の靴を見るとアッパーとソールの間がぱっくり開いている😮

いや「中敷き出ちゃった」というよりも「靴が壊れた」ではないだろうか。。腕を骨折した人が「擦り傷できちゃったよ」と言っているようなものですよ。「いやいや擦り傷はどうでもいいけど、もっと重大な事態ですよ、あなた」というような。

F屋先輩が靴をダクトテープで応急処置し、歩行を続けた。

ガンガラシバナで燃え尽きたF屋先輩の靴がこれ。ドクター中松のスーパーピョンピョンではありません。

無事に帰ってこられて本当によかった。ガンガラシバナ登攀はできなかったが、事故なく無事に帰ってこられたのが何よりもうれしい。沢の増水があれほど恐ろしいものと身をもって知った。一方で切羽詰まった状態でも落ち着ける状況を作っていくことがどれほど重要かを学んだ。

得ることが多い山行でした。

ところで、、

天気見誤って、さーせんっ!!!!!

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