白馬岳主稜を登って、大雪渓を滑ってきました。
ルートとしてはだいぶ前(入会前)に行ったことがありましたが、今回はよくBCスキーをご一緒している他会のIさんから「主稜を登って大雪渓を滑りませんか?」とお誘いいただき、スキー板を担いでの主稜登攀に挑戦してきました。
猿倉への林道が通行止め中なので、二股に車を止めてそこから車道を歩いていきます。1日目は白馬尻までの予定なのでゆっくりですが、幕営装備にスキー板も加わりとても重い…。距離としては5㎞ちょっとのようですが、約2時間かかりました。二股からは雪があるので、シールをつけて板を履いていきます。
白馬尻の雪渓の中で、少しだけ高くなって木が生えているところを今夜の幕営地にしました。テントも持ってきていたのですが、Iさんが最近イグルーの作り方を学んだそうで、時間もあるのでイグルーを作りました。

3時間ほどかかりましたが、雪のブロックを切り出して積み上げ、下は雪洞のように掘り進んで、ちょっと狭いですが2人が並んで寝られるイグルーが出来上がりました。夜中は時折強い風が吹いていましたが、イグルーの中は静かで快適に寝られました。(どうせどこでも寝られるんだろうという突っ込みが聞こえてきそうですが)

翌朝は3時起床、狭いイグルーの中でごそごそ準備していたら、思ったより時間がかかって4時半出発。もう少し早くても良かったかなと思いつつ、薄明るくなってきた中を八峰の小ルンゼ状をすでに登っている先行パーティの後を追って主稜に取り付きます。まだ硬めの雪壁にアイゼンを蹴り込んでルンゼを詰め上がった先は雪が切れていたので、右手に回り込んで上がっていきました。ルンゼではなく始めから右手の斜面から登ってきているパーティもいました。
主稜の前半では六峰への登りが少し急で、先行パーティはロープを出して登っていましたが、程よく緩んできた雪の状態は悪くなく、そのまま問題なく上がりました。

六峰の先はしばらく緩やかな雪稜が続きます。抜けるような青空、適度に吹く風と最高のコンディションです。

スキー板を背負ってもっとスピードが出ないかと思っていましたが、幕営装備なしならそれほど重くもなく、順調に高度を上げていきます。

三峰への登りで岩場が露出しているところがありました。あまり体を振ると、板の先端やテールが雪に突き刺さるので慎重に抜けます。右手から巻いているパーティもいました。

稜線直下の約60度の雪壁、例年にない積雪のシーズンだったので、雪庇がとんでもなく発達しているのではと恐れていましたが、実際にはほとんど張り出しはなく、なんなく上がれました。私はダブルアックスでしたが、Iさんはストックにピックをつけただけでさくさく上がってました。ロープや登攀装備も持ってきていましたが、使わずじまいでした。

稜線に出るとすぐそこが白馬岳山頂で、無事登頂を喜び合ったものの、稜線はまっすぐ歩けないほどの爆風で、とっとと小屋を目指して下ります。登頂が10時で、白馬尻から山頂まで5時間半、あまり雪が緩まず、ステップがしっかり刻まれた良いコンディションだったおかげで、思ったより早く抜けられました。

白馬岳頂上宿舎の陰でスキーを履いて、お楽しみの大雪渓の滑走開始! 雪は硬めですが、杓子岳をバックに滑るIさんが粒のように見えるほど雄大な景色です。

下りるにつれて雪は緩んできましたが、標高差1200mの大雪渓はとにかく長い! 太ももの筋肉の限界を感じながらの滑走でしたが、とにかくスキーは早く、20分ほどでイグルーに戻ってきました。

登ってきた主稜を眺めて達成感を楽しみながら、イグルーから荷物を撤収して下山。

途中間違えて下りすぎて登り返したり、長い林道をショートカットするため中山沢に出ようとしたら雪がつながっていなくて、10mほど藪の斜面を板を担いで強引に下りてIさんに呆れられましたが、どうにか林道に出ました。


後は二股まで、再び板を担いで長い林道を戻ります。バランスの関係で後ろに引かれるためでしょうか、重さ以上に肩に食い込む痛みに耐え、この最後の歩きが一番きつかったかなと。できれば板は担ぐものではなく履くものだなと思いながらも、頑張って歩き通し、おびなたの湯につかって帰りました。
たっぷり雪のあるシーズンで、残雪の登りも滑りも楽しめました。Iさん、ありがとうございました!
【行程】
1日目 二股(10:00)-猿倉(12:00/12:30)-白馬尻(14:00)
2日目 白馬尻(4:30)-白馬岳(10:00/10:10)-白馬岳頂上宿舎(10:30/11:00)-白馬尻(11:20/12:00)-二股(15:00)
シン