2025/11/29-11/30 遭難対策訓練 実地

2025/11/29-11/30 遭難対策訓練 実地

会山行で遭難対策訓練を行いました。
一日目は机上&ビバーク訓練、二日目は実技訓練です。
場所:一日目:某所、二日目:広沢寺の堰堤
記録:もち

※一日目夜も訓練は続く・・・

一日目夜は近くのキャンプ場でFuji監督の元、火起こし&ビバーク訓練を実施しました。
まずは火起こし。これは泊まり沢で役に立ちます。
火を付けたことが無いメンバーを中心に、着火剤を使わずにその辺の枝や枯れ葉を使って火起こしをやってみます。枝を重ねる順番や量がなかなか難しいようです。そのうちFuji監督がトイレに行ったのをいいことに、しびれを切らしたFuru先輩が持参した木屑とトーチバーナーで一気に火をつけて完了としました。その後は焚火を囲ってちょっとした宴会をやりました。とはいえ翌朝は5時発なので21時頃に宴会はお開きとし、ビバーク訓練を開始となりました。

火は暖かい…

丁度この時期の夜が夏~秋の3000m峰の気温ぐらいであろうという事で、夏~秋装備でツェルトを使って一晩過ごせる人は過ごしてみようという訓練です。一応会テントも張って無理そうなら逃げ込めるという算段です。さて皆さんの装備はどんなものかというと、、、、
①コットに寝袋無しで爆睡するFuru先輩。
②ここで体調崩すとワンチャン一冬崩すってことでツェルトにシュラフ泊のTushiさん、Nabさん
③まっとうに(?)、夏山服装+αでツェルトをかぶってビバークするF監督、Kiriさん、私
④レスキューシートに包まって寝転がってスマホ弄ってる今日入会したKawaさん!?
⑤のっけから会テントにいるNさん、Kさん。
といったメンバーで一晩越してみました。
私は上はベースレイヤ+フリース+レインウェア、下はタイツ+パンツといった具合です。

。。。。寒すぎて寝られない!!本当に夏山か?と腕時計をその辺に暫く置いて温度を測ってみると9℃らしい。まあ夏山か…
とはいえ寒くて眠れないので、5分ぐらいジャンプして体を温めてからツェルトに潜ってみると一時間ぐらいは運動後のぬくもりで眠れるみたいです。体を温めれば多少眠れるようなので、この作戦で再度ジャンプしていると同じく眠れていないF監督もジャンプし始める、眠る、を続けて3時半、何やっても耐えられない程冷えてきたので起きて宴会の片づけをすることにしました。横でFuru先輩がイビキかいています。腕時計の気温は4℃弱。寝れていないF監督と片付けを始めていると、Kiriさん、Kawaさんも起きてきてきたので手伝って貰いました。寝られなかったみたいですね。しかし皆さん最後まで会テントに行くことなくやりきっていたので流石だなと思いました。

ジャンピング中

片付けも終わり、今度はダウンジャケットを羽織ってもう一度寝てみると1時間ぐらい寝ることができました。ダウンは強いですね。秋の装備計画を考えてみる良い機会となりました。
ギャグみたいとはいえ、寒いビバークで体を動かしなが夜を越すのは有効なんじゃないかと思います。また、今回はレスキューシートを使いませんでしたが、腰下に巻けば変わっていたかもしれません。

さて冷えた体を朝マックで回復させて、広沢寺にて朝参加の方々と合流し、二日目に入ります。
今回は、「クライミングではない」バリエーションルートや登山道で崖に落ちた同行者or落ちている人間がいる場合を想定して、完全なクライミングではない道具によるセルフレスキューを行います。
駐車場に集合してすぐにF監督のもと訓練は始まりました。

まずは搬送。早速駐車場から訓練場所となる堰堤まで人間を搬送してみます。
複数人or一人で搬送する方法を色々やってみました。
【一人での搬送】
1.120cmスリング使った背負い搬送。
担げれば安定する。肩にスリングが食い込むので太めのナイロンスリングが良いと感じた。体重差があるときつい。また要救助者が寝転んだ状態から持ち上げるとこまでやってみましたが、一人で立ち上がるのはきついかな…
2.ファイヤーマンズキャリー→担げれば簡単に運べそうだが、座った状態から担ぐのは至難でした。

【二人での搬送】
3.1名が要救助者の背後から腕を回し、もう1名が足を持って移動
二人で搬送するので体重差があっても搬送できる。搬送速度は遅めだと思う。

【数人による搬送】
4.ツェルトで搬送→テントのグランドシート使ったら一瞬で破れたので無かったことにした。
5.ロープ編み込みで作った担架で搬送→ロープの編み込みが大変だが、複数人で運べるのが良いと思う。バランスを崩すと要救助者が落ちるので注意。しかし複数人で運ぶ都合上、登山道では難しいかも。

編み物得意系

1、2はどちらも担げれば安定しますが担ぐまでが大変。万が一転んだりした場合、両者ともに負傷しそうです。。。
3は搬送速度は早くないものの、道が悪くても運べそうなので幅広い状況で使えるのかなと感じました。
4、5は複数人、ツェルト、スリングが必要になりますが安定して長時間運べると感じました。シュラフ等を包みながら運べそうです。

次に簡易ハーネスの作成。
腰ハーネスとチェストハーネスの作り方。どちらも120cmスリングで作りました。
チェストハーネスの結びはシートベントで結びます。こうすると結び目が動くことがなく、首が絞まることがありません。

懸垂下降。ビレイデバイスは無い前提でムンターヒッチと肩がらみ、首がらみで下降してみます。
勿論バックアップしつつです。

【ムンターヒッチで下降】
ムンターヒッチ作成を手順で覚えるのか、形で覚えるのか盛り上がりました。手順で覚えるのではなく形で覚えたほうが良いと思います。
制動する側に安環カラビナのゲートが無い方が良いと個人的に思います。ムンターヒッチが出来上がっていれば制動しやすいです。またロープを折り返して使うような場合、大きめのカラビナが良いと感じました。

結び方伝授中


【肩がらみ/首がらみで下降】
こわいですが、傾斜が緩めな場所ならばなんとかなりそう。
漫画版神々の山嶺で羽生丈二が肩がらみでスーッと降りて助けるシーンを思い出しながら、いや無理だろと。

肩絡み。この瞬間が一番怖いですね。

【介助懸垂】
120cmスリングで要救助者を背負いながらムンターヒッチで介助懸垂をしていきます。
こちらのほうが両手が開くというメリットがあるようです。
背負い搬送と同じで体重差があるときついかも。

【登り返し】
何かと訓練でやることの多い、登り返しもやります。
メインロープに巻き付けるスリングの種類、巻数、フリクションノットの種類で固定力が変わります。
摩擦で止まらないのもダメだし、固く締まり過ぎてもダメです。
懸垂でロープを回収できなかった時にも使いますのでこれはやり慣れておく必要があると感じます。

新人のKさん

【引き上げ】
カラビナとスリングだけを使って1/3システムを構築して要救助者の引き上げを行ってみます。
システムの構築も複雑なのでよく覚えておく必要があります。
また、1/3とはいえ引き上げは重く、これをやるには数人必要だなと感じました。

【全部盛り】
ここからは二組に分かれて、急な斜面の下で倒れている人間を発見して、登山道に引き上げる。という状況で今までやってきた搬送から引き上げを全部使ってやってみます。訓練なので堰堤を急な斜面と見立てて、自パーティーは4人程度としています。

まずは懸垂。要救助者を搬送する為に上から2人、ムンターヒッチを使って懸垂下降します。
お次は搬送。2人で要救助者の腕と足を掴んで、ロープがある地点まで搬送します。
引き上げと行きたいところですが、引き上げ要員が足りないと判断したので、1人を残して1人は登り返しで上がって貰います。そして上のメンバーで1/3システムを構築し、下にいる1人は介助懸垂の要領で要救助者を120cmスリングで背負って引き上げることにしました。
実際に一連の流れでやってみて、まず搬送は道路なら簡単ですが山道となると足場が悪く、数十メートルの移動だけでも大変です。また、1/3システムも改めて構築しようとしても、忘れてしまったりと、教えて貰うのと、実際に自分で作ってやってみるのとでは色々違うなと感じました。

最後に、こうやって一年に一回、定期的に登攀以外の登山技術をおさらいできて良かったと思います。

あと訓練後に広沢寺でフリークライミングする人がいなかったので恨みます。

もち