2024/09/14~15 谷川岳 一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁 変形チムニー

2024/09/14~15 谷川岳 一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁 変形チムニー

6月のリベンジで、谷川岳変形チムニーに行ってきました。メンバーはシンさん、F田さん、もちさん、Oです。

シンさんからお誘いいただき、楽しみにしていた変形チムニーですが、
F田さんも参戦し、よくよく考えたら会の中でも〇態寄りの、健脚ハード山行メンバー3人の中に入ってしまい、私は行っても良いのだろうか。。
少し前から不安に駆られ、超早起き&晩酌控えめ、夜も眠れず(これはウソ)の日々を過ごしていました。

前夜に横浜を出発て1時間ほど仮眠を取った後、AM3:30谷川岳ベースプラザを出発。
ものすごくきれいな星空の下(これが見納めの星空かもしれない。。(まだ不安。))、一ノ倉沢出合へと進みました。

一ノ倉沢から河原を歩き、前日の雨で湿った樹林帯を抜け、ヒョングリの滝を登り返してテールリッジへ。
ヒョングリの滝からは、前に2パーティー歩いていくのが見えました。南稜テラスに向かうようです。
予想以上の晴天で、汗をかくほどにどんどん水と体力HPが少なくなっていきます。歩くの遅れてしまいすみません。
真夏だな、こりゃ。もちさん、F田さんはすでに裸族に足を踏み入れていました。

朝日をあびた中央稜

中央稜取り付きのテラスで大方の登攀準備を整えて、
7:30 F田さん・もちさんペア、シンさん・Oペアでいざ登攀開始。

1P目 50m Ⅲ+ F田さん、Oリード
登攀的に難しくはないのですが、50mで支点が3か所しか取れないとの下調べだったので慎重に進みました。
古いリングボルトやカムも使って5か所支点を取れたので、少しだけ心と体のリスクを減らして登ることができました。

1P取付より

2P目 20m Ⅴ もちさん、シンさんリード
左側のフェースを登っていきましたが、見た目より格段に悪かったです。
記録のとおり、どんどん崩落が進んでいるようです。
持ちやすそうに見えるフレークは動くものが多いので大方信用できず、迷わず残置スリングA0で進みました。

先行のF田さん・もちさんペアが変形チムニーに取りついているのを見ながら登っていると、
「落~!」の声のあと、岩が真横を落ちていきました。岩と岩がぶつかって花火の煙の匂いがしました。
落石が落ち着いた後に上を覗くと、子供を抱えるように岩を持っているF田さんが見えました。(産まれた?)
急ぎ気味で上に進みました。

3P目 50m Ⅳ+ F田さん、シンさんリード
このルートの象徴、変形チムニーです!
先程の落は、変形チムニー内部からの落石のようでした。
F田さん・もちさんペアが、脆い岩を産み落としていただいたお陰で、後続チームは落石無く登れました、ありがとうございます!
記録では左側の細かいスタンスを拾って登る、とあったのですが、左側の壁は濡れているため、下部の手は右側のホールドのみを頼りに進みました。
上部に進むにつれて左右のホールドを捜しながら登っているうちに、体が回転してしまった模様。
チムニーの中腹で2回転程したのは楽しかったです。(フォローなので)

チムニー内部の様子

4P目 20m Ⅱ F田さん・シンさんリード
なんてことないトラバースなんですけど、やはり一つも支点が取れないのはプレッシャーでした。

5P目 30m Ⅳ もちさん・Oリード
ルンゼからチムニーへ。こちらは先程のチムニーより少し狭く、体を外に出して進みます。
もちさんがジムっぽく軽やかに登っているのを見て、私もやるぞ、と発奮!
これまでのルートに比べて浮石が少なく、気持ちよく登れました。

3P終了点より5P小チムニーを見る

6P目 40m Ⅲ F田さん・シンさんリード
個人的にはこのピッチは、フォローなのにとってもストレスフルでした。
階段状のフェイスは油断しているとところどころ滑る&浮石が多く、
支点間もとても長いので、リードだったら怖すぎです。

7P目 30m V (前半)もちさん・Oリード
少しかぶったフェースに、残置スリングが2つ見えました。
できれば使わずに登ってみたかったのですが、これまでの登攀で岩があまり信用できないためA0で進んじゃいました。ホールド自体は良かったです!
もちさんが四畳半っぽいテラスかな、と思ってピッチを切ったところは、7P目途中のコーナークラックの手前だったので、ルート途中で交代しました。四畳半テラスは崩落が進んで今は四畳半無いんですって。

7P コーナークラック

7P目後半+8P目 合わせて50m V、Ⅳ F田さん・シンさんリード
コーナークラックはクラックというよりカンテっぽい感じで抜けました。
その後の8P目は右側に一旦進んだ後に直上、最後に左側に進んだところに支点があります。
自分が一番初めだったら確実にルーファイで時間がかかるだろうな。
整備された岩場で、ボルトの位置を目視しながら登るのに慣れてしまっていることをつくづく実感しました。

9P目 40m Ⅲ もちさん・シンさんリード
もちさんが先行で進んだところ、ルートがイマイチ見つからないとのこと。
シンさんが追ってリードで向かい、もちさんの取ったルートより少し左にある支点を無事見つけてくれました。
もちさんはハンマーでハーケンを打って下降点を作り、無事降りてきて再登攀。
新しいスリングで作った下降点が、今後登る人を惑わしませんように。
正しい支点はもう少し左にありますよ~

10P目 40m Ⅲ O・F田さんリード
最後のピッチは残置ハーケンがところどころにあり、カムで支点も作れるため、ようやくⅢ級っぽいルートでした。
私が初めに進みましたが、烏帽子岩の首まで進んでしまい、懸垂で少し戻りました。
ひとまずは全ルート登攀完了、ありがとうございます!
登ったルートは略称を使ってもOK、と決め、「変チおつかれー」「変チやったー」と連発していました。

懸垂で下山するにはいろんなルートがあり、首から隣の尾根へトラバースしてから下降するパターンもあるようですが、
今回は肩から空中懸垂で笹エリアへ向かいます。
この時点で15:45、ヘッデン下山は確定です。

烏帽子岩肩から笹エリアへの懸垂 50mロープ2本を結んで

下調べでは肩から空中懸垂して、笹エリア入り口にある残置支点に向かい、
笹エリアの岩基部をトラバース後、笹エリアを7~8m程下って南稜終了点から6ルンゼ下降する予定でしたが、

生い茂った笹が、不明瞭な踏み後をすべて覆いつくしていて、ルートがなかなか見つかりません。
ロープを出してシンさん、その後F田さんが入念に探索してくれたお陰でやっと下降点を発見できました。
その間もちさんと私は空中懸垂のロープの回収に手間取ったりで、いろいろと時間がかかりました。

だんだんと暗くなる中、6ルンゼ下降点から5回ほど懸垂をして、19:30頃に南稜取り付きのテラスに到着。
暗い中でテールリッジを降りるのは危険だよね、ということで、ここでビバークすることになりました。もちさんは初ビバーク。
「今日はビバークするには風もないし暖かいし、比較的平らな場所だし、恵まれている環境だと思います!」と言ってみましたが、
わたしもビバーク1回しかしていないのに、なぜこなれている感を出してしまったんだろう。
寝床、固い。でも転がり防止でロープでセルフを取って眠るのには、ちょっとだけわくわくしました。

昨日1時間しか寝ていないのですぐ眠れるかな、と思ったのですが、
途中雨も降ってきたり、気づいたらF田さんもちさんが下にずり落ちてしまうため、ツェルトポジションを変えたりで、結局あまり眠った感がありませんでした。
シンさんは5時間くらい熟睡できたらしい、さすがです!
朝には雨も止んで晴れ間も見え、なんだか素敵な夜明けでした。

夜明けの南稜テラス

明るくなってきた5:30頃に下山を開始しました。
雨でぬれている蛇紋岩はとても滑ります。暗い中で下山しなくて本当に良かったです。
慎重にテールリッジを降りて、ヒョングリの滝についてほっとしました。

ここで、ヒョングリとは?
跳ね返る、跳ね上がる、という意味をもつ方言だそうで、
水が落ちる岩盤の凸角に落下した水が当たり、水が持ち上がって宙を舞う滝のことをヒョングリ滝というそうです。
今回は水量が少なく、ヒョンぐった滝は見られませんでしたが、代わりにF田さんがヒョンぐっていました。

「これ、水着なんで(F田さん)」「そんな水着はありません笑(シンさん)」

あ、シンさん寝てる
シンさん こっちでも寝てる!
思い思いに涼をとるメンバー

そんなこんなでなんとか下山し、帰りは新道周りでビジターセンターにたどり着きました。
わーい、炭酸のみたい、マック食べたい、温泉行きたい!
変チから無事下山できた達成感と下界に戻れた喜びで、欲望が湯水のように湧いてきます。
もちさんはパンイチで駐車場をうろうろしています。

今回の山行を振り返ってまず、メンバーみなさまにお世話になりっぱなしですみません、本当に楽しかったです。
自力では絶対行けないところにご一緒させていただき、心から感謝しています。
全然チームに貢献できなかったので、せめて荷物はいっぱい持てるようになりたいな、
もう少し登りを早く登れるようになりたいな、など、山に対する欲も増えました。
あと、登るルートだけじゃなくてエリア全体の位置情報も集めたほうがいいね、という話も出たので、
今後に役立てていきたいと思いました。

あと一連を振り返って
・葉っぱに付いた虫こぶを見て「きれい~、おいしそう~」と目を輝かせたり、池でヒョンぐりまくりのF田さん
・下山後の駐車場でパンイチでうろうろしていたもちさん(法的にはこれがきっと一番アウト)
・暗い懸垂の中でもにこやか品行方正で、斜めテラスのビバークでも5時間熟睡できるシンさん
だれが一番変〇なんだろう、会のみんなにも聞いてみたいなと思いました。

とにもかくにも、変チ変〇ビバーク山行、どうもありがとうございました!

<行程>
3:30 谷川岳ベースプラザ出発 → 4:30 一ノ倉沢出合 → 5:30 ヒョングリの滝 → 7:30 変形チムニー登攀開始 → 15:30 登攀終了 → 19:30 南陵テラス泊   翌10:00 谷川岳ベースプラザに戻る

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