2021年10月3日~4日 谷川岳幽ノ沢左俣 中央ルンゼ(アルパインクライミング)

2021年10月3日~4日 谷川岳幽ノ沢左俣 中央ルンゼ(アルパインクライミング)

「Youはさー、中央ルンゼいっちゃえばいいじゃん」

と、いうことで今回は谷川岳でも幽ノ沢😲

シンさんと私Fです!

当初は欲張りプランの2日で一ノ倉沢 変形チムニーと合わせ技の予定でしたが、初日土曜日は台風の影響が残り早朝の谷川岳は雨。8時頃に雨が止んだので行動開始。よって、初日は幽ノ沢の偵察としました。

混雑緩和のためロープウェイ駐車場は夜間閉鎖。私たちは土曜日未明に到着したためインフォメーションセンター駐車場に駐車。ロープウェイ駅100メートルくらい下ですが駐車料金は無料でした〇トイレは一つのため、駐車場の規模に比してやや心配。

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空はまだ雨雲が行きかっておりしばしば雨がザっと来ます。

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幽ノ沢中央ルンゼを上った後は中芝新道を下る予定。登山指導センターには「廃道扱い」という不吉な警告が。。。

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一ノ倉出合いに到着。

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一ノ倉出合いよりも先の林道(「国道」だが到底国道とは程遠いので「林道」といいます)を歩くのは初めて。幽ノ沢出合いを目指します。一ノ倉出合いを離れるとすぐ左側の岸壁には谷川岳で命を落とした先人たちのレリーフが数多く打ち込まれています。

一ノ倉出合いから30分ほど林道を歩いて幽ノ沢出合いに到着!

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その先には幽ノ沢の岩場が見えます👀

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幽ノ沢アーップ!!!ドーン!真ん中の滝の右側のルンゼが中央ルンゼ。上部にハングが見えますが、このハング手前を右に抜けます。意外と近く見える〇

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堅炭尾根もアーップ!!!!中央ルンゼ登攀後はあの尾根まで抜けて尾根の反対側の中芝新道を下ります。

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幽ノ沢出合いから芝倉沢出合い方面に20メートルも歩けば「ブナのしずく」という水場があります。

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幽ノ沢の始まり始まり♪事前にインターネット上の山行記録を調べたところ、雪渓が完全に消える秋に登った人の多くは沢靴を持っていっている模様でした。私たちも安全サイドの選択でここから沢靴に履き替えます。

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??

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・・・!あっ!沢靴は「あったら良い」ではなくて、「必携」ねっ! しっかり沢登りやんけー!!!見えるのは二俣手前の大滝。ナメが多いので足袋系のフェルト底がよろしかと。

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大滝は念のためロープを出して登る。どちらにしろすぐ次の二俣でもロープは使用するのでここはめんどくさがらず安全サイドの選択でロープを出したほうが良いと思われる。まったく難しい登りではないですが。。。

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大滝のすぐ後に二俣。中央ルンゼは左俣に行きます。中間尾根付近から登ってトラバースで左俣に寄り戻っても滑りでやや怖いし、左俣どまんなかは下部こそホールドはあるが、上部はナメでホールド不安。ここからすでに幽ノ沢名物ランナウトの洗礼。

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んー、

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んー、

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左俣に入ってからは沢の滝登りがますます厳しくなる。もはやしっかり沢登り😨

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やがて沢は左の本流と、右の水量の少ない沢に分かれます。右のほうに幽ノ沢の岸壁が見えるので、右を進みます。

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レディボーデン、もとい、バーモントカレー、もとい、「カールボーデン」に到着!!!

目の前に見えるルンゼが中央ルンゼ。ここまでの厳しい登攀を考えると危険な考えが頭をよぎる。

「中央ルンゼ、今日やっちまうか」「ここでビバークして明日の早朝から登るか」

意を決してシンさんに熱い気持ちを打ち明ける。

シンさん「時間も遅いですし戻りましょう」

私「はい、そうしましょう」

幽ノ沢出合いへレッツゴー!!!

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登りで厳しかった滝は安全に懸垂で下降していく。ロープを三つ折りにしてスリングを回収しながら下る。意外とうまくいく🙆

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下りで判明したが、下り方向で、カールボーデンに続く「本流と水量の少ない沢の分岐」よりも先から二俣のナメ滝落ち口までは沢の右岸が利用できる。ところどころ「踏み跡かな?」と思われるものがあるが、明瞭ではない。しかし、この右岸の藪の中の踏み跡らしき場所を通ると、根のしっかりした灌木が生えているので、それをつかみながら登ることができる。これで厳しい滝を高巻きしていくことができる。下の写真のような道。よって登りもこの道を使うと滝登りよりはマシ。

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ナメもでかい!

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幽ノ沢出合いに到着!この下見が翌日の登攀に役に立ちました。暗い中でこの道を初見で歩くのは厳しい。翌日は取りつきまでスムーズにいくことができました。時間があるときは億劫がらずに下見をしていくことは重要。

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明けて10月3日土曜日。暗い中幽ノ沢出合いに到着。

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幽ノ沢沢登り中に朝日が差してくる☀

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前日の下見が活きて、サクサク歩ける。幽ノ沢の二俣。

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左俣のナメ滝を登る

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順調にカールボーデンに到着!一息。ここで登攀具一式を装着。

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中央ルンゼ取り付き点の小ハング。ここは安定していないので、やはりカールボーデンに入る前付近で登攀用具は装着すべき。

1ピッチ目はシンさんリードでスタート。外傾しているためガバ持ちできる岩が見当たらず、スローパーもちで小ハング一歩目をよいしょしなくてはいけないのでやや難しい。冬季には雪に削られるであろうカール地帯なので、ホールドの状況はシーズンごとに変わると思われる。

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2ピッチ目以降の100メートルスラブ帯はそれぞれ40メートルくらいでまずは2ピッチで切った。あまり適当に登ると行き詰まる可能性も心配されたので、簡単とは言えどちゃんとルートを見定めていく。ちなみに中間支点は噂通り激少ない。

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100メートルスラブ帯の最後のピッチで全体の4ピッチ目。私のリード。正面に大ハングのある中央ルンゼがあり、その左にリッジ、さらにその左にルンゼのような地形が見える。下の写真で私がいる場所は左のルンゼに向かった間違ったルート(この写真は間違いに気が付いて後に懸垂しているとき)。その先に支点があり、そこでいったんセルフをとったが、これはどうやら違うルートか、間違えて撤退用に作成した下降支点。この支点からリッジを右にトラバースして中央ルンゼに戻るのは厳しすぎる。よって、この支点から懸垂下降して元に戻る。改めてシンさんにビレイしてもらい、下の写真の真ん中下の黒いスリングの垂れた中間支点を使って中央ルンゼに入る。右にトラバースして右寄りを登るような感じになる。結構傾斜が立ってきているので緊張する。やはり中間支点はほぼなし。右寄りがホールドが豊富。

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20mⅣのカンテへ向かうピッチ。シンさんリード。

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ちょっと気を使う乗越部分を越えたシンさんから私を見た図

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さらにカンテに向かう


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かなり奮闘している様子が伝わってくる。セカンドで登ってわかったが、カンテ前でレッジに立ちこむ際に、いつか崩壊するであろうフレークをハンドホールドにして体重をかけなくてはいけない。傾斜も立っているのでこのレッジの立ち上がりがまず怖い。シンさんはここにカムをセットしてランナーをとっていたが、ビレイしている私に聞こえたカムのセッティング音は軽い音で、いつかこのフレークは崩壊すると思われる。そしたらどうやって登るんだ???

次にカンテに出るにあたって、カンテ奥が見えないのでしっかりしたホールドがあるのかわからない。さらに草のついた滑るかもしれないスタンスに立ってカンテに奥に出なくてはいけない。カンテ奥にはハーケンがあるが高度感半端ない😨

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さらに奮闘して、シンさんがハンギングビレイでセット完了。ハンギングしている部分が40mⅣ A1のアブミを使う核心部。

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私も恐怖のレッジからカンテへ続く

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当初の予定ではA1核心部は私の担当の予定であった。

事前の心理「アブミなしでフリーで登ってやるぜ」

通過後↓ がっちり両手でA0。

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続くピッチの凹角は私のターン。A0という悪魔に魂を売ってしまった今、アブミに乗りあがりやすくするために手をかけるヌンチャも、ハンギング中でやや高い位置にいるシンさんにかけてもらう。一度プライドを捨てるとどんどん図々しくなる悲しいサガ。

アブミを踏んで凹角に入った。いつもの流れだとA0した後はその後の心理上のA0ハードルが一気に下がるので、「A0の祭り」となるがっ!!!

中間支点がにゃいっ!A0できない。

しかも凹角は「ほんとにこのルート?」と思うほど立っている。

意を決していざ登り始めると確かにホールドはあり、難しいクライミングではないが、ビレイヤーはド貧弱な支点でハンギングしているし、中間支点がないのでここで落ちると2人とも紐無しバンジー。。。かなりの集中をして登ると、登り始めて5メートルか10メートルか忘れたが、ハーケンの確保支点が右側に見つかる。おそらくA1核心部の本来の終了点はここ。となるとその手前の確保支点はハンギングビレイ手前のカンテか?あんなところでビレイできるのか?やっととれた中間支点で気持ちが落ち着きシンさんの方を見ると、自然に出てきた言葉が、「もはや間抜けですね」。失礼しました!だって、めちゃくちゃ高い岩の上で、いつ打たれたかわからないぼろぼろの支点にぶら下がってるんだもん。なにこの遊び😬

何はともあれ、それほど登っていないので凹角で見つかった確保支点は中間支点として利用して登り続ける。やがて岩が寝てきて下の写真のようなところに出るが50メートルロープいっぱい。支点は見当たらないのでハーケンを打ち込むが、1本クロモリは入るリスがあったが、もう一本が入るリスが見つからない。打ち込んでみても入り込まないものだらけ。仕方なくクロモリハーケンと、岩角の無理やり支点でシンさんの確保に入る。この適切なリスの少なさが中間支点の少ない理由か。

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Ⅱ級程度の岩をもう2ピッチくらい登ると開けた草付きの部分に出た。ここで登攀終了かと思ったが、この後、堅炭尾根に出るまで草付きの急傾斜や、Ⅱ、Ⅲ級の岩部分、藪漕ぎなどで結構距離も時間もかかる。あっさり尾根に出るようなものではなかった。踏み跡も見当たらず、道を間違えたのかとも思ったがそのほかに登れる場所もあまりないようにも思う。メインの登攀終了後も以外と長いので要注意。

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やっとこさ堅炭尾根に到着。左奥の切れてしまっている山が一ノ倉岳と思われる。

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中芝新道を下る。

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ヤバイ。一般登山道ではない。笹が生い茂って踏みあと不明瞭。道も急。かなり悪い道。登山指導センターの張り紙通り、これは「廃道」です。

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やっと芝倉沢が見えてきた

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芝倉沢出合いに到着したころには真っ暗。ここに至るまでも沢の道は大岩の間をぬったりするしで、やはり一般登山道とは程遠い。「廃道」です。

芝倉沢出合いも「これを国道というなっ!」というほど崩壊している。車はもちろん通らない。登山道です。

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燃え尽きて20時にインフォメーションセンターに到着。途中の幽ノ沢出合いではブナのしずくの湧水をがぶ飲みしました。

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あまくねーな、幽ノ沢!しかし充実したアルパイクライミングができました!!!

シンさんお疲れっす!

F

<コースタイム>10月3日日曜日のみ

4:30 一ノ倉出合い → 4:50 幽ノ沢出合い(しばし明るくなるのを待つ) → 7:20 カールボーデン下部(

登攀用具装着) → 8:00 中央ルンゼ取り付き点の小ハングより登攀開始 → 11:30 核心のA1付近 → 15:20 堅炭尾根 → 18:20 芝倉沢出合い → 20:00 インフォメーションセンター到着