荒々しい南八ヶ岳の峰々にあって、その名のとおり編笠のような端正な山容で南の端にひっそり鎮座する編笠山。以前から気にはなってはいたのですが、なかなか訪れる機会のなかった山です。今回は、悪天候の白毛門からの転進で、この編笠山と権現岳に行くことにしました。パートナーは、新入会のMさん、深雪訓練を除けば今回が入会後の初山行です!
観音平をベースに、編笠山と権現岳をぐるりと周回するコースを計画しました。ちょっとコースタイムは長いけど一般ルートだし…という甘い考えが誤算の序章でした。。。
深夜、小淵沢ICを降りても3月の八ヶ岳は厳冬期の刺すような寒さはなく、春が確実に近くなっていることを感じます。雪の全くない道路を観音平に向けて車を走らせ、観音平への分岐点・・・冬季閉鎖のゲートが・・・えっ!転進先を慌てて探していて気付きませんでしたが、エアリアマップにちゃんと冬期閉鎖の文字が。。。 (誤算その1)ゲートの先を歩いてもプラス1時間くらいなので、予定通り編笠と権現を目指すことにして、打ちひしがれながらも、軽く宴会をしてシュラフに潜りました。。。
翌朝、周辺の林には雪がほとんどなく、ホントにこれから雪山ですか?という感じ。それでも編笠山へ続く登山道を辿り高度を上げていくと疎らだった雪も徐々に増えていき、しっかりと雪山になりました。ひとまず安心。富士見高原からの登山道との合流点以降は、トレースもばっちりです。それにしてもこのルート、樹林が深く、かなり標高が高いところまで展望がありません、ひたすら忍耐の登りです。
編笠山の頂上直下は展望も開け、富士山、南アルプス、北アルプス・・・山々の眺めが最高です。傾斜もきつくなり、Mさんにキックステップの講習をしながら山頂へ。
編笠山ののっぺりした広い山頂からは権現岳、阿弥陀岳、赤岳、硫黄岳、天狗岳と八ケ岳の峰々が一望できます。八ヶ岳の山々を南側から眺望することはあまりないので新鮮です。
これから向かう権現岳が目の前に…結構遠い。。。ここまで結構時間もかかってしまったので、青年小屋に急ぎます。
青年小屋で一休みして、権現岳へのルートを探索。しかし、登山道が・・・ない・・・樹木が開けている登山道らしき場所がありますが、ノートレースです。メジャーな一般登山道のはずなのですが。。。最終兵器のスマホGPSで確認・・・やはりこのノートレースの場所が登山道のようですww一般ルートでトレースばっちりのはずなのに・・・こんなにマイナーなルートだったとは。。。(誤算その2)
わずかにトレースの痕跡らしきものはあるものの、膝上くらいか吹き溜まりでは太ももまでの肉弾戦ラッセルです。Mさんにも交代してもらいますが、慣れていないのでなかなか進まず。1時間を超えるフルラッセルの末、ようやくピーク前の尾根上へ。かっこいいピークが目の前に聳えます。権現岳かっこいいなぁ~。(真相も知らずパチパチと写真撮影)
ここからは急傾斜の岩稜っぽいところも出てくるので、アイゼン、ピッケル、ハーネス、ガチャを装着して臨みます。慎重に岩だらけの登山道をトラバースして、急な雪面をラッセルして・・・いよいよ権現岳の頂きへ!・・・と思いきや、その先にどっしりした立派なピークが!・・・赤岳にしては妙に近いし、赤岳は向こうだよなぁ・・・。ってことは・・・あれが権現岳の本峰かぁ!www
ラッセルに夢中でしたが、よくよく地図を見ると、権現岳の手前の尾根の末端がちょっぴりピークっぽく見えます。。。権現岳と信じて登ってきたのは尾根末端の名もないピークっぽい丘だったのですwww(誤算その3、誤算というより単なる間抜けかもw)
偽ピークに騙されることは時々ありますが、今回の裏切られ様は過去最大級の激震・・・Mさん共々打ちひしがれ雪面に崩れ落ちました。時刻は既に午後2時、この先もノートレースですし、その先の状況もよくわかりません。時間切れで本日の行程はここまでとすることにしました。憎々しい思いで、聳え立つ権現岳をカメラに収め、小ピークを後にして、失意の中、もと来た自らのトレースを戻ります。
急な雪面は念のためにロープで確保し、慎重に下ります。その後は、あれほどラッセルで苦労した道も、トレースあり&下りであっという間に青年小屋。
青年小屋からは、編笠山を登り返す気力もなく、ピークをトラバースして下山するルートを選択しました。が、この巻道も微かなトレースの痕跡はあるものの、ほぼノートレースでしかも果てしなく長いラッセル。。。(誤算その4)
ひたすら雪と格闘し、漸くトレースのあるもと来た登山道に合流した頃には時刻は既に5時。夕日に照らされながら登山道をひたすら下りますが、林道に出た頃には日もとっぷり暮れて月が煌々と輝いていました。また残業になってしまったwww(誤算その5)
この日の月はかなり明るく、月明かりに映し出された木々の影や自分の影が幻想的でした。カラ松林に浮かび上がる自分の影を御供に、Mさんとともに月明かりにほんのり照らされた林道を足早に下りました。。。
誤算が多く、体力勝負の山行となってしまい。。。Mさんには思いがけないスパルタ山行となってしまいました。権現岳に届かないわ、残業にはなるわで・・・Mさん、ごめんなさい!!でも、体力勝負の山行もナイスファイトでよくがんばってくれたと思います!!これに懲りずにまたご一緒してくださいね!(>_<)
それにしても権現岳は遠かった・・・・。
Mさんに感想をもらいました。
雪山に行きたい!とアルパインクラブ横浜に入会し早々に連れて行って頂きました。雪にはまだまだ不慣れで歩き方から御指導頂きながら、想像以上の急登とロングルートに苦戦し、凹む気持ちを支えてくれたのは晴天の青空と南アルプスや八ヶ岳の展望でした!
最後はフラフラになってしまい下山が遅くなりKさんには申し訳なかったですが、こちらこそ懲りずにまたご一緒させて下さい。
コースタイム
5:45駐車場-7:00林道終点-7:55富士見平分岐-8:35押手川9:05-10:50編笠山頂11:05-11:20青年小屋-13:50権現岳手前尾根上の丘(高度計2719m)14:05-14:15 青年小屋-17:00 押手川-17:25富士見平分岐-18:10林道終点-18:40駐車場
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