2022/7/24 錫杖岳 注文の多い料理店・1ルンゼ(敗退)

2022/7/24 錫杖岳 注文の多い料理店・1ルンゼ(敗退)

錫杖岳に登りに行ってきました。メンバーはFさんと私シン、目指すルートは会の先輩Furuさんお勧めの「注文の多い料理店」です。

元の予定では、金曜の夜に出発して土曜に注文の多い料理店、日曜に1ルンゼを登る計画でしたが、土曜の明け方まで雨が降る予報で、土曜の夜出発で日曜に注文の多い料理店1本に絞ることにしたのですが…。

1:30に駐車場に着いて3:30まで車中で仮眠、4:00に出発しました。クリヤ谷の渡渉はなんなく越え、錫杖沢を渡る辺りで4人パーティに先を譲っていただき、城のようにそびえ立つ烏帽子岩前衛フェースを目指します。良い天気ですが、湿度は高く、木々や足元は濡れていて、アプローチシューズは中までびしょびしょに。5:30に壁までたどり着くと、ちょうど北沢側から2人パーティが登ってきました。土曜から入られたそうですが、増水したクリヤ谷の渡渉で死ぬかと思ったとのこと。昨日はずっと雨で登れず、岩小屋に泊まって、今日は左方カンテを登られるそうです。

嫌な予感がしつつ、北沢に出て壁を左に回り込んでみると、やはり目指す注文の多い料理店は全面濡れて黒光りしています。これは厳しいか?と見上げながら、ゆっくり登攀準備。

中央の凹角が注文の多い料理店

核心の3Pのリードを希望させてもらっていたので、私のリードでスタート。どこでも登れる階段状のIV級となってますが、全面ぬるぬる状態。慎重にルートを見定めながら登りますが、フリクションが全く当てにならないので、体感は軽く2グレードはアップ。

かなり時間をかけてようやくリングボルト2本の支点で切ってFさんに上がってきてもらいましたが、2Pはいったん左に下り気味に始まるはずがどう見てもこれ以上左には行けない。Fさんが右に(今の状況では)シビアなトラバースをこなして上がると、立派なテラスとペツルの支点があって、ここが本来の1P目終了点でした。

2P目は5.8の左上するフレーク。クラックのジャミングが使えないというハンデを背負って、Fさんがぼやきやうめき(?)を上げつつ根性のリード。

2P目のフレークをリードするFさん
2P目をフォロー中

2P目の終了点は、Fさんが切ったところから5mほど右にトラバースしたところで、ここだけ私がリード。結局、本来2Pのところを4Pに切って、約2時間半かかりました。この次が核心の3P目のハング~ワイドクラック(5.8)ですが、ここも全面黒光り状態。とりあえず、ハンギングして行動食を食べながら見上げてましたが、どう考えてもまともに登れる状態ではありません。そもそも5.8のワイドという時点で我々には余裕がないので、登れるとしても人工登攀、さらにプロテクションはちゃんと効くのか? 無理に登ってもこのルートの楽しさは味わえないだろうということで、ここまで頑張りましたが、撤退を申し出ました。

懸垂で撤退中に見上げた3P目

2時間半の奮闘も、懸垂であっという間に取り付きへ。壁は西面で、取り付きにようやく日が当たり始めました。ここでまだ9:30だったので、南面で日当たりの良さそうな1ルンゼに行ってみて、乾いているなら登ってみることにしました。

1ルンゼ取り付きに行ってみると期待通りに乾いていて、4人パーティの靴があったので上の方を登攀中のようです。ルンゼとなってますが、出だし2Pは水は右手の溝を流れており、登るのは開けたフェースです。この時10:30で、14:00には下降を始めると決めて登攀開始。

1ルンゼ取り付き

1P目(IV/30m)、Fさんリード。予想以上に残置は少なくて、カムでランナーをとっていき、ピナクルでビレイ。白っぽい岩はしっかり乾いていて、クライミングはこうでなくちゃという感じです。最後は少し難しく、40m近くロープが出ていたので2P目の出だしも登ったかも?

2P目(V+/25m)、私のリード。クラックの縦ホールドが少し難しいものの、その後は傾斜が落ちます。ここの終了点は、左方カンテの方からトラバースしてくることもできます。

2P目を上から

3P目(IV/45m)、Fさんリード。ここからルンゼらしい地形になってきます。なかなかのスケールです。IV級は出だしだけで、あとはほとんど歩き。

3P目

4P目(III/20m)、私のリード。左の壁に取り付いてフェースを越えた後は傾斜が落ちますが、出だしがIII級にしては難しく感じたのは部分的に濡れていたため?

4P目を上から

5P目(IV/30m)、Fさんリード。この辺りからかなり濡れていて、上の方に見える6P目は絶え間なく水が落ちてしぶきが舞っているほど。Fさんは中央のスラブの右端を上がっていき、かなり頑張ってくれたようですが(私のビレイ位置からはよく見えず)、濡れたスラブがどうにも越えられなかったようです。すでに13:30になっていたので、ここで下降開始。ちょうど残置カラビナがあったようでロワーダウンで下りてきてもらいました。4人パーティは姿は見えないものの上にいたようなので、左のカンテかチムニーから登ったのかな?

5P目、中央の濡れたスラブで撤退

3Pの懸垂で14:15に取り付きに戻ってきました。上のパーティーも下降を開始したようで、落石を避けるため荷物をまとめてさっさと撤収。

16:30に駐車場に戻り、新穂高の湯へ。2本途中敗退という冴えない結果で、同じ日に前穂や滝谷に行ったパーティーは気持ちよく登れたらしく、行き先の選定ミスですみません。晴天が続いたタイミングを見計らって、またリベンジさせて下さい!

<行程>

駐車場(4:00)ー注文の多い料理店取り付き(5:30/6:30)-撤退(9:30)ー1ルンゼ(10:30)ー撤退(13:30)ー駐車場(16:30)

シン