明神岳東稜~主稜に行ってきました。
明神岳は上高地の目の前にそびえる山ですが、一般登山道がなく、いつか登ってみたいと思っていた山でした。何度か計画したものの実現せず(1年前は荒天予報で城山に転進)、ようやくチャンスが巡ってきました。メンバーは去年の城山転進組のせんさん夫妻とKさん、私の4人。
予約しておいたタクシーで、上高地に入りました。開山祭の前で、ゲートが開いて最初の週末です。去年からゲートが開く日は4/17に固定になったそうです。雪は少なめで右手の明神岳は黒々としています。
ちょうど木立に朝日が当たってきれいでした。明神に到着。梓川を渡って、下宮川谷を詰めていきます。途中から雪が現れ、少し古いトレースが残っていましたが、今日は私達が最初のようです。
宮川のコルからは斜面をトラバースしてひょうたん池に上がり、ここから東稜になります。ここで10時、順調に上がってきたので今日のうちに主峰を越えてしまうのもあり?などと話していたのですが…。
東稜は尾根上にもかかわらず雪はあちこちにクラックがあって踏み抜きだらけ。ほどなく現れた第一階段という岩と草付きの斜面も雪の悪さに悩まされました。結局、突き当たりの岩を右に巻いて急な雪壁を抜けました。
ようやく15時半に主峰直下のバットレス基部に到着。当初の予定通り、ここで幕営になりました。私達を含めて3パーティが上がってきました。
頂上直下のコルということで、風に備えて壁を作りましたが、夜になっても風のない穏やかな日で、三季用シュラフでも全然寒くありませんでした。
岩が温まってから登ろうと、私達はのんびり最後に出発。一段上がってすぐが、今回の核心となるバットレスの凹角(Ⅲ+~Ⅳ-)、せんさんリードで上がります。凹角のクラックがアイゼンでは使いにくいので、右壁の細いエッジに前爪をひっかけて登ることになります。そして、誘惑に駆られる場所にフィックスロープが垂れていたりしますが、手は探せばガバがある上に、暖かいので素手で登れるので、思い切って登れます。抜け口がちょっと迷いますが、右からも左からも乗り上がれます。
核心を抜けて、雪壁をもう1ピッチ登って、後はロープをたたんで登っていきます。先行パーティは頂上直下の岩場も登っていましたが、左から巻くとかすかな踏み跡を辿って頂上に上がれます。
明神岳主峰で、吊尾根をバックに。ここから明神岳の主稜を下っていきます。
まずは目の前にそびえ立つⅡ峰。ここは私がリードさせてもらいました。威圧感はありますが、登るのは左手に回り込んだガリーで、概ね階段状になっています(Ⅲ)。
続くⅢ峰。リッジはだいぶ立っているので、右手の雪面をトラバースして上がりました。
Ⅲ峰からの下りは急な岩場で浮き石も多いものの、踏み跡は明瞭で、その先のⅣ・Ⅴ峰はなだらかな歩きになっています。
この辺りから振り返る明神岳主峰は、槍の穂先かと思うようなきれいな三角錐の形をしていて、右下に東稜が伸びています。雪のコルが昨夜の幕営地です。
Ⅴ峰への登り返しが思ったより遠かったので、Ⅳ・Ⅴ峰間のコルから前明神沢を使って下山を開始しました。上部は浮き石だらけのガレ場ですが、やがて雪が出てきました。途中、小さな滝で念のため2P懸垂しましたが、南西尾根を下りるよりだいぶ時間短縮して下りられました。
上高地に戻ると、外国のお客さんであふれてました。開山祭前だというのにびっくりです。
雪の状態は悪かったものの、それ以外は晴天と暖かさに恵まれて、ようやく明神岳東稜を登ることができました。主稜線から見た明神岳はとても格好良かったです。もっと登られていい山だと思いました。ありがとうございました。
<行程>
1日目:上高地(5:45)-明神(6:30)-宮川のコル(8:30)-ひょうたん池(10:00/10:50)-第一階段(11:30)-バットレス基部(15:30)
2日目:バットレス基部(6:30)-明神岳主峰(9:00/9:40)-Ⅱ峰(10:40/11:10)-Ⅳ・Ⅴのコル(12:40)-上高地(16:00)
シン