7/14-16 剱岳八ツ峰Ⅵ峰・上半縦走

7/14-16 剱岳八ツ峰Ⅵ峰・上半縦走

剱岳八ツ峰に行ってきました。

アプローチだけで1日かかる剱に3日だけではもったいないと、海の日の連休の前に1日追加して、3泊4日の予定で行ってきました。
残念ながらせんさんは休みが取れなかったため、Uさんと私が先に入り、せんさんは1日遅れで合流です。

7/14(金)、扇沢からアルペンルートを乗り継いで室堂に抜け、剱御前に向かいます。
天気は快晴、みくりが池には流氷のように雪が浮かんでいて、景色を楽しみながら進んでいきます。

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剱御前に上がると、剱岳が姿を現しました。奥のスカイラインが八ツ峰です。

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剱沢を下り、長次郎谷を登り返します。登っても登ってもなかなか近づきません。

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Ⅵ峰前に到着。右端からⅤ峰、Ⅵ峰A,B,C,Dフェース。
翌日登るルートの偵察に行くと、Dフェース富山大ルートの取り付きは雪が迫っていて、壁と雪渓の間には大きな隙間が空いており、頑張って取り付けたとしても濡れるのは必至。一方、Aフェースの取り付きは島のように雪がなくなっているので、快適に登れそうなAフェース魚津高ルートを登ることにしました。

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15(土)、早すぎると岩が冷たそうなので、6時にAフェースの取り付きへ。
魚津高ルートは3P、1,3Pを私が、2P目をUさんがリードしました。前日の夕方に雨が降りましたが、幸い岩はほぼ乾いてました。

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3P目はハイマツの中をAフェースの頭に到着して終了。難しすぎず、気持ちよく登れました。日も当たって暖かくなってきました。

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Ⅴ・Ⅵのコルは雪渓で埋まっていてさらにシュルンドが何本も開いていたため、同じルートを懸垂下降。2P目の終了点からは(下から見て)左側の壁を下降。50mロープで下まで届くか?と思ったら5mほど足りませんでした。近くにあった岩を使って3回の懸垂下降で下りました。

下りてきたところで9時。順調に登ってこられたので、Cフェースに移動。こちらは壁まで雪がかぶさっていて、雪渓上から直接取り付きます。奥のRCCルートは崩れた雪が邪魔していたので、手前の剣稜会ルートにしました。

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剣稜会ルートは5P、奇数ピッチをUさんが、偶数ピッチを私が担当しました。
1P目は緩いフェースで、残置ハーケンが点在していてどこがルートかいまひとつ分かりませんでした。私はセカンドなのをいいことに、雪渓上で履き替えてシューズを濡らすのが嫌だったので1P目は登山靴で登らせてもらいました。

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11時過ぎにCフェースの頭に到着。ここから八ツ峰主稜の上半部分を縦走します。
ぎざぎざの岩峰が続いていて、左側が長次郎雪渓、右側が三ノ窓側です。
Ⅵ峰のCフェースからDフェース、さらにEフェースへは三ノ窓側を簡単に歩いて行けます。Eフェースの頭からはクライムダウンもできるようですが、立派な懸垂支点が作られていたので懸垂で下りました。

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Ⅶ峰に登らずに三ノ窓側をトラバースする道もあるようですが、今回は稜線を越えていきます。
ところどころ浮き石はありますが、概ね岩は硬くて楽しく登って行けます。迷ったらとりあえず稜線を直登していくのがよさそうです。

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Ⅷ峰の頭から、リッジから落ちないようにしながら角度の緩い懸垂下降。

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最後の八ツ峰の頭への登りは、出だしのトラバースがちょっと高度感があるので、懸垂でロープを出したついでで念のためスタカットにしました。トラバースの先は右上するガリーに入り、そちらは易しい登りで、八ツ峰の頭に到着。

振り返ると、登ってきた八ツ峰の稜線が見えます。
今日の八ツ峰は私達の貸し切り状態で、午後になって1パーティがCフェースを登りに来たくらいでした。

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八ツ峰の頭から池ノ谷乗越へ懸垂で下り、問題はここからの長次郎谷右俣の下降。八ツ峰を登りながら横目に見えていた右俣は下から見るよりも立っていて、おまけに大きなシュルンドが口を開けています。
あらためて池ノ谷乗越から見下ろす雪渓は斜度は大丈夫そうですが、シュルンドの方は…

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一番大きなシュルンドはほとんど雪渓全体が割れていましたが、幸い右端(下の写真の手前側)が2mほどの幅でつながっていて下りられました。
横から見ると大きくえぐられています。上からは雪の厚みが分からないので要注意です。今回、アイゼンは前爪のあるものにしましたが、この時期の右俣やⅥ峰前の雪渓は軽アイゼンでは厳しいと感じました。

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テントに戻ると、せんさんが到着して雪渓でビールを冷やしながら待っていました。

16(日)、今日はチンネ左稜線を登りに行く予定でしたが、午前中から天気が急速に崩れるとの予報。アプローチに時間がかかり、十数ピッチの長いルートの中で悪天につかまるのはリスクがあるため、予定を変更してAフェースの中大ルートを登りに行きました。

明るくなるのを待って、5時半に登攀開始。今日は全ピッチせんさんがリードです。
1P目(Ⅳ+、今回登った中では最難グレード)はクラック沿いに登っていきますが、朝一の冷え切った体にはなかなか登りごたえがありました。

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2,3P目は難易度が下がり、快適に登って昨日魚津高ルートから登ったのと同じAフェースの頭に着きました。
昨日の下降で懸垂支点を確認しているので、今回は1P目の懸垂を昨日より下まで伸ばして壁の途中にある小さなテラスで切り、2Pで下まで戻りました。懸垂の途中から雨が降ってきて、ぎりぎりセーフ。チンネに行っていたら、登っている最中に降られているところでした。

テントを撤収して、降ったりやんだりの中を下山します。剱沢小屋の辺りから雨風が強くなり、テントが転がったりしていました。
ひたすら耐える感じで歩き続け、室堂に到着。観光客でごった返すアルペンルートを乗り継いで扇沢に戻り、閉店ぎりぎりにすべり込んで、最後はアーチダムカレー。

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目標としていたチンネ左稜線は宿題になってしまいましたが、八ツ峰の岩場と主稜線は快適で楽しいものでした。雪渓を見下ろしながらの岩登りは、「岩と雪の殿堂」と呼ばれる剱の岩場を登っている実感がわきました。
Uさん、せんさん、ありがとうございました。次こそはチンネも登りましょうね!

7/14 扇沢(7:30)-室堂(9:00)-剱御前(11:00)-幕営地(14:30)
7/15 Aフェース取り付き(6:00)-Cフェース取り付き(9:00)-Cフェースの頭(11:15)-八ツ峰の頭(14:00)-幕営地(15:20)
7/16 Aフェース取り付き(5:30)-Aフェースの頭(7:00)-幕営地(8:45)-室堂(13:15)-扇沢(15:20)

シン